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ナイル商会

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何時も有難うございます!ご訪問頂いたお客様も203,060 人を超え、新たな目標に向かって歩んでいます。身近で出遇った小さな生き物達や植物など、気ままにナイルがご案内しています。 ナイル商会・管理人

カテゴリ:不思議の森の物語(全19話)( 19 )

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            (上はサザンカ{山茶花}、下はチャノキ{茶の木}です)
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 大蛇の樹の前でわたしは、門番さんが来るのを待っていました。そこへ門番のホシホウジャクさんが、忙しい♪忙しい♪と歌いながらやって来ました。わたしは彼に話掛けましたが、夕ご飯を食べてから、と言われて待つ事になりました。
 大蛇の樹の周りは森の中とはいえ、山茶花やお茶の花が咲いていて、先ほど迄の不思議な森とは違っていて、街中の公園にいる様な安心感が溢れていました。もう直ぐお家に帰れるんだわ!わたしは早く家に帰りたくて堪りませんでした。その時「お~い、用って何だい!」と言いながら門番のホシホウジャクさんが戻って来ました。
 『門番のホシホウジャクさん、わたしはず~とこの森を旅して回っていたのよ。でも、もうそろそろお家に帰らなくてはならないの。だからお願い門を開けて、わたしをお家に帰らせて欲しいの。』と言いました。「なぁんだ、そんな事かい。ここには門なんて無いよ。」と変な事を言うのです。『だってあなたは門番さんでしょ?それなら鍵を開けて外に出して頂戴!』と彼に懇願しました。「門も鍵もそんな物はここには無いんだよ。外に出たければ、心に念じればいいんだよ。僕は心の鍵を開ける門番なんだ。」と言うのでした。わたしはその時亀仙人も、同じ様な事を言っていたのを思い出しました。「念じればいいんだよ、忙しいからもう行くよ!忙しいったら、忙しい♪」と言うと彼はわたしを置いて、飛んで行ってしまいました。
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 念じるのね、念じればお家に帰れるのね!わたしは心の底からお家に帰りたいと念じました。何度も何度も念じました…その時微かに覚えが在る様な道が見えたのです。そうよこの道だわ!この道を通って来たんだわ!すると何かが道の方から遣ってくるのが見えました。それはわたしに向かってくる一羽のドバトでした。そうして道は突然はっきりと、わたしの前に現れたのでした。
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 わたしが道に一歩踏み出した時、ドバトがバタバタっと飛び立ちました。そうして気が付くとわたしは、森の入り口の前に立っていたのです。街は未だ明るくて道路には車が走り、遊歩道には散歩を楽しむ人の姿が在りました。わたしは不思議の森の方を振り返りましたが、そこには唯、木立に囲まれたフェンスが在るだけでした。
 さようなら不思議の森…!わたしは心の中で、そっとお別れを言いました。そうして夕暮れの街を、お家に向かって歩いて行きました。         「不思議の森の物語…完」


☆長い間この森をわたしと旅をして下さった皆さん、本当にありがとうございました。心で強く念じれば、きっと何時か望みが叶うでしょう!皆が一斉に願えば、その思いは更に強い物にとなって行きます。不思議の森を旅したあなたはきっと、強い心と優しい心が同じ物だと気が付いた筈です。あなたも何処かに在る、あなた自身の不思議の森を旅して下さいね。優しい心で花や昆虫達に接して下さい。強い心で不思議の森を旅して下さい。きっと、きっと素晴らしい魔法があなたを待っている筈です。

 △このお話は、最初から通してご覧頂けますよ。→ 不思議の森の物語・エピローグ
by brue-nile | 2005-10-20 01:13 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(12)
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 (上のノガリヤス{野刈安}はイネ科で、アカマツやコナラ林に生育する多年草。刈安は黄色染色料に使われるカリヤスの事です。下はご存知オミナエシ{女郎花}です。野山や土手に自生し、高さは約1m程になります。)

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 やっと双子の樹の所まで辿り着いたわたしでしたが、カラスさんが言っていた右に行く道が在りませんでした。がっかりしたわたしは思わず泣いてしまったのですが、ツマグロヒョウモンさんが声を掛けてくれたのでした。
 『妖精のお姫様、わたしは双子の樹から大蛇の樹に行く為の道をさがしているのです。でもここには右に行く道なんて無いのですもの。それで悲しくて泣いていました。』わたしは彼女に訴えました。すると「まあ、そんな事で泣くなんて駄目ですよ!ほら見てご覧なさい、あなたの立っている藪の後ろが、大蛇の樹に通じる道なのですよ。」と優しくわたしに教えてくれたのでした。そうなのです藪が高く繁っていて、道が見えなかっただけなのでした。
 『ありがとう親切で綺麗な、妖精のお姫様!』わたしはそうお礼を言うと、慌てて歩き出だしましたが、彼女はわたしの後を付いて来ると、こう言いました。「そんなに慌てないで、未だお話は済んでいませんよ。大蛇の樹の門番は何時も忙しくしているから、もし誰もいなくてもそこで待っているのですよ。いいですね、ちゃんと待っていれば門番は必ず回って来ますからね。」そうわたしに告げると、ふわふわと道を戻って行きました。『本当に親切にしてくれて、ありがとうございました、さようなら妖精のお姫様!』
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 (シモバシラ{霜柱}しそ科の多年草、初冬の強く冷え込んだ朝、枯れたこの草の基部に、霜柱の様な氷の結晶が出来るので霜柱です。)

 わたしは勇んで藪陰の道を進んで行きました。そうして終にわたしは、樹肌が大蛇の鱗みたいな巨木が在る、森の広場に辿り着いたのです。あぁ~!やっと大蛇の樹の所までやって来たわ。後は門番さんを待つばかりなんだわ。わたしの心は家に帰れる期待で喜びに震えたのでした。
 その時歌声が聞こえて来ました。どうやら門番さんがやって来たみたいです。何だかドキドキしながら待っていると「ああ忙しい♪忙しい♪何でこんなに忙しい♪」と歌いながら、ホシホウジャクさんがすっ飛んで来ました。『もしもし…忙しいのは判っているんだけど、一寸だけ時間を下さいな!』わたしは彼に話しかけました。「おいおい一寸待ってくれないかい、僕はまだこれから夕ご飯を食べなきゃならないんだから…ああ忙しい♪忙しい♪…」
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 ★ホシホウジャク、昼間に活動するスズメガの仲間です。空中の一点にとどまって、口を伸ばして花の蜜を吸いますよ。大きさは21~30㎜で日本全土に棲んでいます。一見ハチの様に見えますよ。クリックして見てね。
by brue-nile | 2005-10-19 01:47 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(8)
 意地の悪いカラスさんを煽て上げ、何とか帰り道を聞き出したわたしは、先ず双子の樹に向かって、右の方の暗い森の道を進んで行きました。
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 薄暗い森の途中には、突然木々が疎らになり光が差し込む、開けた場所が在りました。そこだけは未だ夕方の空っとした、明るい空気が充満しているみたいでした。暗い森からそうした場所に出るたびに、何だかほっとして休みたくなりました。でも双子の樹がどんな物か、どれ位歩いたら見つける事が出来るのか、わたしには皆目見当がつかないのです。
 やはり先を急がなくては、夜になる前に大蛇の樹迄たどり着きたいのです。もし辿り着けなかったら、わたしはたった一人この暗い森で、夜を明かす事になります。それだけは絶対に嫌でした。それで、わたしはまた歩き始めました。
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 (上はよく見かけるヨウシュヤマゴボウ{洋種山牛蒡}の実、下はインディゴ・ブルーが綺麗で真丸なヤブミョウガ{藪茗荷}の実)
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 探していた目印の双子の樹は、突然目の前に見えて来ました。下ばかり見ていたらきっと見逃してしまった事でしょう!一本の樹が幹の途中で二つに分かれていて、確かに双子の樹の様に見えます。これが絶対双子の樹だわ!わたしはその樹を目指し駆け足で進んで行きました。
 あんまり急いだので、何度も転びそうになりましたが、それでもわたしは走って行きました。樹の所に辿り着きましたが、何故かカラスさんが行っていた筈の、右へ行く道が在りませんでした。そこには同じような、森の道が続いているばかりでした。わたしはがっかりして、とうとう泣き出してしまいました。
 その時直ぐ側の藪陰から声がしたのです。「ねえあなた、何で泣いているの?わたしに訳を話して見たらどうかしら?」と優しい声で話しかけて来たのです。わたしは藪の方に行って覗いて見ました。そこにはあの妖精のツマグロヒョウモンさんが、アザミのソファーにもたれて座っていたのでした。
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          (上&下はツマグロヒョウモン♀クリックして見て下さいね)
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by brue-nile | 2005-10-18 01:36 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(8)
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 長旅の末に水路の途切れた所に、やっと辿り着いたわたしでしたが、辺りには誰の姿も見えませんでした。『誰かいませんか~?』と叫んだ時、木霊が返るように「ダレカイマセンカ~!」…「ダレカイマセンカ~カ~カ~!」と声が返って来たのでした。一体誰かしら、声は茂みの先の、暗い森の辺りから聞こえて来たのです。わたしはヌルデが生い茂る暗い森に向かって、大急ぎで歩いて行きまた。
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(上はヌルデ、ウルシ科、果実は蝋の原料になります。下は森の中のキノコ「コガネヤマドリ?」キノコ類は詳しくないので不明です。)
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 森の中は結構明るくて、綺麗な色の大きなキノコが点々と生えていました。その時暗い樹の上の方から「ここだよ、ここだよ!」と声が聞こえて来たのですが、暗すぎて誰だか姿が見えませんでした。でも、近くの梢にパサパサッ!と羽音を立てながら、黒い鳥が降りて来て止まりました。それは大きくて闇のように黒い、ハシブトガラスさんでした。e0064158_083749.jpg『あら、まあ、あなたが次の案内鳥さんなのね!』と話しかけました。「おやおやあんたは甘すぎるんだよ!おいらは唯ここにいるだけなんだよ」と意地悪そうに言うのでした。『そんな事言わないで、帰り道だけでも教えて下さいな、綺麗な翼のカラスさん。』と、わたしは彼を煽ててみました。「おや~あんた中々良い目をしているじゃないか!」彼はまんざらでも無い様に、胸を張りました。『ええ、とっても綺麗で黒い羽が虹のようにキラキラしてるわ!きっと孔雀でもあなたに敵いっこないわ。』わたしは更に彼を煽て上げました。「帰り道だって~、そんなのこの先を右に行って、双子の樹の前を又右に行けば、大蛇の樹の所に門番がいるよ。そこでドアを開けて貰えば帰れるよ。」と早口で教えてくれたのでした。『わかったわ右に行って双子の樹をまた右に行って、大蛇の樹の所に行けばいいのね!本当にありがとう、親切なカラスさん!』そう言って、わたしは大急ぎで右の道へと歩いて行きました。
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(ヒヨドリバナ{火取花、鵯花}鵯ガ啼く頃に花が咲くからが定説、でも乾燥した花がらは火熾しの原料になるので“火取花”と言います。下はイヌショウマ{犬升麻}ブラシみたいなサラシナショウマの仲間、柄は在りません)
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by brue-nile | 2005-10-17 01:07 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(19)
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  暗くならない内に水路の終わる所まで行きたいのですが、案内鳥は無言のままゆっくりと水面を進んで行くのでした。時おり草陰からイナゴさんがぴょ~んと跳ねながら「脅かすなよ!」と文句を言います。そのたびに『気が付かないでご免なさい!』と、謝りながら案内鳥との旅を続けて行きました。       

(上の写真は、ツマグロイナゴ{ツチバッタ}とも呼ばれ、水辺の草原に棲んでいます。大きさは30~50㎜で、翅の先が黒いのが特徴です)
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 (上はユウガギク{柚香菊}葉を揉み匂いを嗅ぐと柚の匂いがします。下はミツモトソウ{水元草}源草、狼牙{ロウゲ}と呼ばれ、本来の花弁は5枚)

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 歩けど歩けど水路は途切れる事無く、何処までも続いているように思えて来ました。辺りはどんどん暗くなって来ていました。草陰からはもう、イナゴさんの文句も聞こえなくなり、わたしは心配で仕方ありませんでした。でも水路は浅くなって来ていて、もしかしたら水路の途切れる場所が近いのかも知れません。
 辺りには木立が目立ち始め、ときおりお日様が薄く光を投げかけてくれました。早く水路の途切れる場所に行かなければ、日が沈んでしまいそうです。わたしは本当に心配でなりませんでした。

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 その時案内鳥が突然「グワーッ!グェグェ!」と声を上げました…それから彼は始めてわたしに話しかけました。「着いたよ、着いたよ…グェグェ!」そう言うと、彼はわたしに笑いかけて、また元の水路を戻って行きました。『本当にありがとう、親切な案内鳥さん!』わたしは彼にお礼を言いました。
 水路は本当に途切れていましたが、この先どうしたら良いのでしょうか?わたしは『誰かいませんか~!』と叫んでみました。すると何処かから木霊のように「ダレカイマセンカ~!」と言う声が返って来たのでした。
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by brue-nile | 2005-10-16 01:24 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(22)
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 亀仙人の沼を後にしたわたしは、案内鳥の後について行く事になりました。水路が無くなる所迄、案内鳥と一緒だと思うと心強く思えました。でも案内鳥は無言で、唯ゆっくりと水路を進んで行くだけでした。
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           (可愛いノイバラの実と風情が在るワレモコウ)
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 水際の小路は未だ充分明るくて、わたしは辺りの景色を眺めたり、花たちに話しかけたりしながら、のんびりと歩いて行きました。でもこんなにゆっくり進んでいては、暗くならない内に水路が無くなる所迄行けるのでしょうか?ちょっと心配になって来ました。でも案内鳥は相変わらず無言で、滑る様にゆっくりと水路を進んで行くばかりでした。
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 (マユミ{真弓}昔この木で弓を作ったので真弓。樹質は硬く、でも柔軟性が在ります。ピンク色の実が割れてオレンジ色の種が出てきますよ。)

     深山辺(みやまべ)や 真弓よりこき色ぞなき 紅葉は秋のならひなれども                          
                土御門院(つちみかどいん)
by brue-nile | 2005-10-15 00:49 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(18)
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  (奈良時代から知られた薬草、セリ科のノダケ{野竹}シシウドの仲間で、80~150cmに成るのっぽの草花です。)

 わたしがやっと会う事が出来た「亀仙人」は、何と生意気な子亀でした。わたしは彼に、お家に帰りたいとお願いしたのです。すると「なぁ~んだ、簡単じゃん」と事も無く言うのでした。「家に帰りたいと念じれば良いのさ!でも…人間じゃちょっと駄目かも…そいじゃ途中まで案内を付けてあげるよ。」『ほんとに!でも何かお礼がいるのでしょ!?』わたしは一寸心配になって彼に言いました。「お礼はさっき貰ったよ、綺麗なトンボの眼鏡を僕ちゃんにくれたじゃん!」
 わたしは、でもあれは大切な…と口から出掛かりましたが『そうなの?あれで良いね!』と、すかさず彼に言いました。トンボの眼鏡はこの森でしか使えないと、言われたのを思い出したからです。
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 (マガモ{俗称、青首}くちばしが黄色で先端は黒、顎から上は緑色光沢のある黒色で、お洒落な白い首輪をしています。大きさはカルガモと同じくらいです。全長59cm程で冬鳥、漂鳥として全国に渡来します)
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 「ほ~ら向うから案内鳥が来たよ。後は途中まであの鳥に付いてけばいいからね。」『解ったわ、あの鳥さんの後に付いて行けば良いのね』大喜びでわたしが言うと「それじゃ駄目じゃん、水路は途中で途切れてるんだ、その後はその辺にいる別の案内鳥に聞かなくちゃ!」と言って亀仙人は、沼に戻って行きました。
 「ありがとう親切な亀仙人さん!」そうしてわたしは案内鳥に付いて、薄暗い水辺の道を歩き始めました。
by brue-nile | 2005-10-14 00:53 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(10)
 わたしはトンボの王様にもらった宝物「トンボの眼鏡」を、身を乗り出した時に誤って水の中に落としてしまいました。どうししようかしら?と思っていた時でした、眼鏡が落ちた辺りがパシャ~と水音を立てたのです。驚いて飛びのいたわたしでしたが、もしかして亀仙人ではないか?と、そおっと沼を覗き込んで見たのです。
 驚いた事にそこには、夥しい数の亀さんの姿が在ったのでした。ついさっき迄は波一つ無く静まり返っていた沼が、今は亀さんの姿で溢れていたのです。
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 わたしが驚いて見ていると、亀さんの中の一匹が群れから離れて、わたしの方へ寄って来たのでした。亀仙人なのでしょうか?
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            (クサガメ、詳しくは「クサガメ君のお散歩」を見てね)
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 そうして岸に登るとノコノコと、わたしの前にやって来たのでした。「あんた、だぁ~れ?」と子供の声でいうのです。亀仙人が子亀?一体どう言う事なのでしょうか?
 『もしかして、あなたが亀仙人さん?』と訊いてみました。すると「もちろん僕ちゃんが亀仙人に決まってるじゃん!」と、むっとして答えたのです。『だって仙人っておじいさんでしょう?!あなたは未だ子供じゃないの!』「僕ちゃんは子供でも仙人なの!だって仙人の名前が付くのは、僕ちゃんしかいないんだから!」『なにそれ!仙人て苗字なの?』「ピンポ~ン、そうだよ。でも僕ちゃん家は、代々亀仙人を名乗ってるんだよ、エ・ヘ~ン!偉いんだから…!」
 『判ったわ、それじゃ亀仙人さん、教えて欲しい事があるの。わたしはナイルって言う人間で、この森をず~と旅して廻ってたの、でもそろそろお家に帰りたいの。みんなが帰り道は亀仙人が教えてくれるから、と言っていたのよ!』「なぁ~んだ、かんたんじゃん!」 
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        (オギ{荻}ススキに良く似ています。穂が白っぽいのが荻です)
     
         ※ご免なさい、この続きは明日の第12夜迄まってね※
by brue-nile | 2005-10-13 00:56 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(10)
 やっと「亀仙人の沼」を見つける事が出来たわたしは、興奮にドキドキしながら沼への道を下って行きました。でも辿り着いた沼の周りには草木がぎっしりと生い茂り、沼に近付く事も大変そうです。でも、どうしてもわたしは亀仙人に会わなければ成らないのです。わたしは恐る恐る草を掻き分けて、一歩一歩用心深く沼に近付いて行ったのでした。
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           (上はワレモコウ、下はノイバラの実とミズヒキ)
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 苦労の挙句、水縁までやっと辿り付いたわたしは「もしもし…誰か居ませんか…?」と沼に向かって声を掛けてみました。でも沼は不気味に沈黙をするばかりでした。わたしは水底を覗きこむ為に、身を乗り出しました。
 その時わたしのポケットから、あのトンボの眼鏡がポチャ~ン!と水の中に落ちてしまいました。あぁ…どうしよう、大切な宝物なのに,水の中におっことしちゃったわ!!でも丁度その時すぐ下の水が、小さくパシャ~ンと水音を立てたのでした。わたしはビックリして、その場から飛び退きました。
by brue-nile | 2005-10-12 00:39 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(14)
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        (上の写真をクリックすると、大きな蜘蛛の巣{糸}が見えますよ)
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 ノシメトンボ王のお遣いの、親切なとんぼさんとお別れをして、わたしは深い森に入って行きました。暗い筈の森には、お日様の光が斜めに差し込んでいて、以外に明るくわたしの足元を照らすのでした。でもし~んと静まり返った森は、木霊さえいる気配が感じられませんでした。時々木の葉越にお日様が、わたしに話し掛けるように思えるだけでした。
 何て静かで不思議な光で溢れていたことでしょうか!光の中には時々わたしを励ますように、赤や白の花が突然浮かび上がるだけでした。「この不思議な森に守られているようだわ!」と心の中で思いました。わたしは歌ように軽やかに、ひたすら亀仙人の沼を求めて歩いて行きました。
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      (下の写真は、まるでブラシの様な形のサラシナショウマ{晒菜升麻})
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 どれくらい歩いた頃でしょうか、わたしは遂に木立の向うに、どんよりとした沼の姿を見る事が出来たのです。これこそが探していた亀仙人の沼なのです。わたしは興奮にドキドキしながら、森の道を下って行きました。
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     ※いらっしゃいませ!本日「ナイル商会」は開店40日目を迎えました。※
                 
by brue-nile | 2005-10-11 00:25 | 不思議の森の物語(全19話) | Comments(12)