12月に入って、この所厳しい寒さが続いていますね。東京では2月が一年で一番寒い時期なのです。でも近頃の寒さは、厳寒の2月よりも更に寒く感じます。雨が殆ど降らないこの季節は、関東地方特有の空っ風が吹き、空気は乾燥しています。水分を全く含まないカラカラの空気は、肌が切れそうな程ピリピリしています。
太陽の光はもうすっかり勢いを失って、悲しいほどにぼんやりと見えます。全てが色を失うこの時期は、空さえも鈍色に変わって、更に寂しさ増して行きます。
それでも東京の公園や街路樹には、未だ未だ黄葉や紅葉が多く残っています。木々は赤や黄色に染まった葉を、寒空の下で名残い惜しそうに少しずつ落としながら、我慢強くず~と立ち続けているのです。
丁度それは既に茶色く退色した葉たちを、なるべく落とさずに大切に身に纏って、この寒さを凌いでいるかの様に思えました。『あなた達はきっと、この寒さから身を守っているのね!』と、わたしはそっと木々に話掛けたのです。
紅葉シーズン真っ盛りの頃は、あんなに持てはやされた紅葉たちですが、今は目をやる人もまれです。すっかり忘れ去られた木々は、その葉の全てが色褪せ散り落ちるその時迄、精一頑張っている様に思えてなりません。この季節の紅葉ほど、わたしに哀れさを感じさせる物は在りません。